夢と読書 一期一会BOOKS

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【感想】旅屋おかえり(原田 マハ)【旅のお供にこの本を】

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こんにちは。
「夢と読書 一期一会BOOKS」の萌菜花です。

今回わたしが読んだ本は『旅屋おかえり』です。

このお話は2022年の1月にドラマ化され、数か月前に続編が放送されていました。
原作は原田 マハさん。

そのため最近発売されたお話なのかな、と思いきや、発行されたのは2014年。

わたしは原田 マハさんのお話を読むのがはじめてだったのですが、すごく読みやすくて一気に読んでしまいました。

今回は思わず一気読みしてしまうほど惹き込まれる『旅屋おかえり』の魅力を余すところなく語りたいと思います!

 

ちなみに作中に出てくる地名は実在するので、実際にロケ地めぐりもできます。
旅のお供にいかがでしょうか?

 

 

 

 

『旅屋おかえり』のあらすじ

 

元アイドルの崖っぷちタレント「丘 えりか」、通称「おかえり」は、唯一の旅番組だけをレギュラーにもち、小さな芸能事務所を支えてきた。

しかし、その旅番組は急に打ち切られ、えりかとえりかの芸能事務所は窮地に立たされる。

打ち切りを心配したファンレターが届く中、えりかの元にとある依頼が届く――。

誰かの代わりに旅をする「旅屋」おかえりの、人と人とを繋ぐ旅の物語。

 

本と著者について

 

旅屋おかえり

 定価:680円+税
 2014年9月25日 第1刷発行
 (集英社文庫


 原田 マハ(はらだ まは)

 1962年東京都生まれ。
 関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。
 2005年「カフーを待ちわびて」で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞し、作家デビューを果たす。
 2012年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞を、2017年『リーチ先生』で第36回新田次郎賞を受賞。
 本作は第12回エキナカ書店大賞を受賞し、2022年にドラマ化された。

 

『旅屋おかえり』の感想

 

1 出かけてみなくちゃ、何が起こるかわからない。

 

 出かけてみなくちゃ、何が起こるかわからない。  

これは、かつておかえりちゃんが出演していた唯一の番組「ちょびっ旅」の最後の語りの一部なのですが、旅に出たいなぁと思うだけでは何も変わりませんよね、実際に出かけてみないと。

わたしは緻密に計画して動くのは苦手なので、旅に出るときはざっくりと行先とそこの営業時間、行き帰りにどのくらい時間がかかるか、くらいしか決めません。
そこからホテルを探して予約をしますが、自分が指定した時間にホテルに着かないこともしばしば。
ダイヤが乱れることだってあるし、目的地がお休みだったり、天候が悪かったり。

でも、それも含めて「旅」なんですよね。

『旅屋おかえり』の中でも、そんな予想外のことが起こります。

逆に、良いことだって起こります。それは「出会い」。
人であったり、場所であったり、ものであったり、旅に出ればいろいろなものに出会います。

おかえりちゃんは芸能人として売れていたかというと、正直そうではない。
むしろ仕事がひとつも無くなって、それでも地元には帰れない、というどん底まで落ちてしまった。

それでもたくさんの人に助けてもらい、ご縁を結んで旅に出て、旅先で新しい出会いを引けるのは、おかえりちゃんの人柄があってこそ。

冒頭の引用した言葉には続きがあって、最後は視聴者さんと一緒にお決まりの言葉を言って番組が終わります。
その言葉が、

 旅に出ようよ、明日から。
 いいことあるよ、大丈夫!  

 

2 誰かの代わりに旅をする、それが「旅屋」おかえりの仕事

 

そもそもなぜ仕事を失ったおかえりちゃんが、旅の代行をするに至ったか。

それは、かつての視聴者さんから依頼を受けたことがきっかけでした。

240回以上放送された「ちょびっ旅」のほぼすべてを視たという、ヘビーな視聴者鵜野(うの)さんには、病気を抱えた娘さんがいました。

娘の真与(まよ)さんは鵜野さんと一緒に「ちょびっ旅」を視ながら、「もう一度旅をしたい」と思っていました。

真与さんがおかえりちゃんに指定した行先は、秋田県の角館。
家族でしだれ桜を見に行ったのだけど、あいにくの雨で苦い思い出となってしまっていました。

旅人・おかえり、改め、旅屋おかえりとしての初めての旅が、この角館。

この旅の時点で話の半分も行っていないのですが、この時点でもうわたしは泣きそうになりました。

この旅に出る前に、カメラ技術を教わるために元「ちょびっ旅」のカメラマンの安藤さんのもとを訪れるのですが、そのシーンがまぁ~~~~良くて!

そのあと、想定外のことが起きる中なんとか帰ってきて、この最初の旅の映像を真与さんの病室で見るんですけど、この映像もまぁ~~~~良いんです! 伝われ! いや伝わるな!

なるべくネタバレせずに本の魅力を伝えたいと思っているので、最低限のことしか書きませんが、もう、読んでください。

読んだらきっと、伝わるはず。

 

3 「おかえり」というその言葉

 

芸名・丘 えりか。略して「おかえり」。
旅が大好きな彼女にぴったりな愛称だと思います。

この「おかえり」という言葉は、帰ってきた人に対して、待っていた人がかける言葉です。
それは、家族であったり、職場であったり、友達であったり、旅先でも、そう。

おかえりちゃんは北海道の最北端・礼文島の出身で、高校生の頃、修学旅行で東京に行ったときに、東京の高校で礼文島を紹介しました。

おかえりちゃんが東京に旅立つ前、お父さんがこう声をかけます。

礼文は小さい島だけど、日本人全員のふるさとみたいなところだべさって。東京の人たちがここへ来たら、私らみぃんな『ようこそ、おかえり』って行ってあげたいと思うてるって」  

「第二の故郷」という言葉があります。
生まれ育った町が複数あるときに使う言葉ですが、旅をすると、「第二の故郷」「第三の故郷」と「故郷」がどんどん増えていきます。
一度行った場所に戻れば、もう「おかえり」なんですよ。そこは戻る場所だから。

宿屋ならなおさら、寝泊りをする場所ですから、「いらっしゃいませ」と他人行儀に言われるより、「おかえりなさい」と言われたほうが嬉しいですよね。

この本を読むと、旅に出たくなります。もしくは、おかえりちゃんに旅をお願いしたくなる。

解説で吉田伸子さんは、そう思う人は幸せです、といわれていました。

それは、そう思うことができるから。その場所への❝想い❞があるから。

おかえりちゃんは「旅屋」として、何人もの想いとともに旅に出ています。

この「おかえり」というキーワード、最初から最後まで大事です。

わたしはこの言葉を、とある登場人物たちと、おかえりちゃんにかけてあげたい。

このお話の後にやっと故郷へ帰ったんかな~と思うと、その場にいるわけでもないのに「おかえり」って声に出しちゃう気がします。言いたくなる。

「おかえり」は、こころがほっとする魔法の言葉で、挨拶だから自分を待ってくれている誰か、もしくはわたしが待っている誰かがいないと使わない言葉なのだと改めて気付かされました。

 

まとめ

 

ネタバレがいやな人はぜひ解説を読まずに本編を読んでください。

本編のあと、解説を読んでわたしが思ったのが、「この小説は原田 マハさんにしか書けない」ということ。

原田 マハさんはもともと旅に出るのが好きな方だそうで、自らを「フーテンのマハ」と名乗り、同じタイトルの本も出されています。

だからこそ、あの登場人物のあの言葉がね。なるほど。

小説や詩はその作者さんにしか書けないものなので、作者さんを知ることで、よりお話の魅力がわかったりします。

と、いうことで、『フーテンのマハ』それから特別編の『丘の上の賢人 旅屋おかえり』、両方後日読もうと思います!

読書初心者さんでもさくさく読めちゃう『旅屋おかえり』。
気になった方はぜひ読んでみてください。

 

 

 

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