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皆様お久しぶりです。
「夢と読書 一期一会BOOKS」の萌菜花です。
今回わたしが読んだ本は『森崎書店の日々』です。
2月に入り、急に本が読めなくなりました。
集中力が足りないというか、文字が頭に入ってこないような状態で、途中まで読んで止めて、少し開いては止めて、を繰り返していました。
読書は好きなのに最後まで読むことができず、やがて体調も崩してしまい、しんどい日々を過ごしました。
その中で、読書を再開するきっかけになったのがこの『森崎書店の日々』です。
この本の魅力とともに、わたしが読書を再開するに至るまでの方法をご紹介します。
気分が乗らなくて本が読めなくなった、本を読みたいけどなかなか読み進められない、という人のご参考にもなりましたら幸いです。
あらすじ
会社員の貴子は、1年交際した英明からある日他の女性と結婚することを告げられる。
英明と貴子は同じ会社であり、英明の結婚相手もまた同じ社内の女性であったため、貴子は会社を辞めることに。
何もかもを失ったそのとき、そのことを知った叔父のサトルから連絡を受ける。
サトルは神保町で古書店を経営しており、住み込みで働かないかという提案だった。
小さな古書店を舞台に、本を通じて成長していく、貴子の再生の物語。
本と著者について
定価:476円+税
2010年9月12日 初版第1刷発行
(小学館文庫)
八木沢 里志(やぎざわ さとし)
1977年、千葉県生まれ。日本大学芸術学部卒業。
2009年『森崎書店の日々』で第3回ちよだ文学賞の大賞を受賞。
同作品は映画化され、翌年10月に公開された。
この本に収録されている「桃子さんの帰還」は、受賞後新たに書き下ろされた続編である。
感想
1 読書を再開する方法――自分と同じ境遇の話を読む
わたしが読書を再開できたのは、自分と同じ境遇の登場人物が出てくる本を読んだからです。
わたしはある日突然、本が読めなくなりました。
読もうと思っても、文章が頭に入らず、途中まで読んでは放棄する日々。
そのうち体調も崩し、ますます読書が遠のきました。
落ち込んだとき、わたしは同じレベルに暗い音楽しか受け付けなくなるタイプなのですが、読書でもそれは同じだと思いました。
『森崎書店の日々』の主人公・貴子は、彼氏だと思っていた人に裏切られ、会社も辞めてしまい、どん底。
いまのわたしに近い境遇でした。
体調を崩してできることがなかったので、片付けの本やエッセイ、ずっと一人称が続く話など、いろいろ読んでみたのですが、どれも最後まで読むことができませんでした。
しかし、音楽と同じように、主人公を身近に感じることで感情移入ができ、自分でも驚くほどにすんなりと文章が頭に入ってきました。
ですから、なかなか読書が続かない人がいたら、自分と同じ・似た境遇の登場人物が出てくる本を読むことをおすすめします。
たとえば、高校生なら同じ高校生が主人公の本。部活や性格、家族構成など、設定が似ていれば似ているほど読みやすいと思います。
読書ができなくなった方、読書をしたいけどできない方がいましたら、ぜひこの方法を試してみてください。
2 神保町に行きたくなる、古本を好きになる
神保町にある古書店を舞台にしたこの本を読むと、本が読みたくなるし、神保町に行ってみたくなります。また、古本に対する意識も変わります。
貴子は、彼氏と別れ、無職になり、住んでいた部屋を解約し、身一つで叔父の経営する古書店の2階に住むことになりました。
そこは、お店に入りきらない在庫が所狭しと積まれており、本が読み放題の状態でした。
さらに仕事を辞めているため、時間は無限にある。
読書好きであれば、まさに夢のような状況です。
しかし、貴子は失恋の傷を抱えており、本に興味がなく、引っ越した当初は寝てばかりいました。
そんな貴子が本を読むようになったのは、眠れない夜に過去のつらいことを思い出してしまったことがきっかけでした。
以前、『新版 人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。 20代で身につけたい本の読み方88』で、千田 琢哉先生はこのようにおっしゃっていました。
悩み事が多い人はたくさん読書できる幸運の持ち主だ。
と。
貴子はつらいことを思い出さないために、眠れない時間をやり過ごすために、目の前にある本の山に手を伸ばします。
その本は貴子と同じ境遇――上京した少女が主人公――の本で、貴子は、自分でもすぐに眠たくなるだろうと思っていたにもかかわらず、朝までかけて夢中で本を読み、最後まで読んでしまったのです。
貴子は、その後、どんどん読書を楽しむようになります。
古書店ですから、古い本を取り扱っています。中には傷んだ本や、線を引いてある本、しおりが挟んだままになっている本も。
わたしは古本を購入してからマーカーが引いてあることに気づいて、いやな気分になったことがあるのですが、そんな本に対して貴子は、
こんな具合に、かつてその作品を読み感銘を受けた人が、ペンで横に線を引いているのだ。自分も同じくその箇所に感銘を受けたから、知らない誰かと心が通じたようでうれしくなった。
と肯定的に受け止めていたのです。
古本はただ安いだけでなくて、本そのものの歴史を楽しむことができるのだと知り、ますます本が好きになり、いろいろな本を読みたいと思いました。
また、貴子を通して神保町の魅力を知ることができます。
古書店の多さ、長く続く喫茶店、古本まつり。
どれもこころ惹かれるものばかりで、一度は神保町に行ってみたい……! と思ったのでした。
3 貴子の叔父・サトルとその妻・桃子にも注目!
このお話を読むと、叔父のサトルのことも好きになるはず。
叔父のサトルは、傷心の身である貴子をあたたかく見守り、立ち直るきっかけを与えてくれました。
でも実は、貴子はそんな叔父のことを苦手に思っていました。
サトルは、数年前仲が良かったはずの妻・桃子が出て行ってしまい、いまはひとり。
桃子はどうして出て行ってしまったのか? そもそもどこでふたりは出会って結婚するに至ったのか。
気になってはいても、貴子はなかなか聞き出せずにいました。
結論からいうと、桃子さんは帰ってきます。
それもそのはず、書き下ろしのお話のタイトルが「桃子の帰還」ですから。
わたしがサトルさんを好きになったのは、出て行ってしまった桃子さんに対して、それでも、深い愛情を抱いていたから。
「でも、いまは、彼女がいまどこで何をしていようと、やっぱり幸せでいてほしいと願ってる」
そんなこと言われたら、もう好きになるでしょう……!
サトルと桃子はどういった結末を迎えるのか?
それはぜひ、あなたの目で確かめてください。
まとめ
主人公の貴子、叔父夫婦のほかにも、魅力的な登場人物が出てきます。
『森崎書店の日々』を読んでいると、本を読んでいるのに本が読みたくなって、貴子を通して古本や神保町の魅力に気づき、きっとあなたも神保町に行きたくなるはず。
このお話は2010年に映画化されているので、映像作品としても楽しめます。
こちらは機会があれば観てみようと思います。
わたしが読書を再開するきっかけとなった本『森崎書店の日々』。
気になった方はぜひ読んでみてください。
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また、続編も出ているようです……!
こちらも機会があればぜひ読んでみたいです。