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たまには恋するお話を読みたいなぁ、なんて思って本屋さんに並んでいる本のタイトルを眺めていたら、この本と出逢いました。
『あやかし』『恋』『古書店』『~僕はきみに何度でもめぐり逢う~』。
タイトルのすべての言葉がツボで、運命的で、この本だ! と思った瞬間に手にとっていました。
本との出会いって割と必然的で、必要なときに、出会うべくして出会っていると思います。
こんにちは。
「夢と読書 一期一会BOOKS」の萌菜花です。
今回ご紹介する本は、『あやかし恋古書店 ~僕はきみに何度でもめぐり逢う~』蒼井 紬希(TO文庫)です。
いままでわたしのブログに来てくださっている人なら、タイトルで萌菜花は絶対好きだろうなと気づいてくださるはずです。
そう、これがも~~好きな要素しかない一冊でした。
正直、タイトルや表紙で展開を先読みしてしまうことができるのですが、それでも泣いちゃいました。
まさかそういう展開になるとは思わなかったです……!
恋ってきらきらしてるけど、それだけじゃない。
命には限りがある、だからこそ切なくて美しい。
それは人も、あやかしも同じ。
最後まで読む手が止められない、「再会」を願わずにはいられない! 切なくて愛おしい、本がつないだ恋のお話です。
- 『あやかし恋古書店 ~僕はきみに何度でもめぐり逢う~』のあらすじ
- 『あやかし恋古書店 ~僕はきみに何度でもめぐり逢う~』と蒼井 紬希先生について
- 『あやかし恋古書店 ~僕はきみに何度でもめぐり逢う~』の感想
- 『恋古書店』の他にもあやかしが出てくる本が!蒼井 紬希先生の他の作品も紹介
- 『あやかし恋古書店 ~僕はきみに何度でもめぐり逢う~』のまとめ
『あやかし恋古書店 ~僕はきみに何度でもめぐり逢う~』のあらすじ
今日も夢を見る。
故郷の神社で、少年と約束を交わす夢を。
恋人に裏切られ、4年働いた大型書店を辞めた真山 紗月(まやま さつき)は、故郷新潟に帰り、見覚えのない古書店――「鴉翅堂(からすばどう)書店』にて働くことになる。
その店を訪れるお客様は、人間だけではなかった⁉
紗月は不思議な出会いや怪異? に戸惑いながらも、経験を活かしてお客様に合う本を紹介したり、一人ひとりに丁寧な接客をしていく。
そして、最初は不愛想だった店主・影野(かげの)に少しずつ認められるようになり、その不器用な優しさを知るたびに、彼のことがもっと知りたいと思うようになるが……。
影野には、紗月が知らない秘密を持っていた。
――これは、本が人とあやかしをつなぐ、運命的な恋の物語。
『あやかし恋古書店 ~僕はきみに何度でもめぐり逢う~』と蒼井 紬希先生について
著書:蒼井 紬希
定価:700円+税
2016年6月1日 第1刷発行
(TOブックス/TO文庫)
蒼井 紬希(あおい つむぎ)
冬生まれ。
作家、小説家、シナリオライター。
2011年に別名義でデビューしており、著書や担当シナリオは多数ある。
なお、「蒼井紬希」名義の本は今作が初である。
その他の著書に『あやかし万来、おむすび処はじめました。』(KADOKAWA 富士見L文庫)、『縁結びのしあわせ骨董カフェ ~もふもふ猫と恋するふたりがご案内~』(スターツ出版文庫)などがある。
また、『未来の私へ贈る、君と紡ぐ今日の物語』(一迅社)は、中学校の入試問題に使われたことがある。
『あやかし恋古書店 ~僕はきみに何度でもめぐり逢う~』の感想
1 古書店『鴉翅堂書店』では実在する本も売っているのでリアル!でもあやかしもいるよ!
主人公の真山 紗月(まやま さつき)は恋に傷つき、東京から地元新潟の透馬村(とうまむら)に帰ってきます。
そこにあったのは、見覚えのない古書店「鴉翅堂(からすばどう)書店」でした。
作中で紗月が店主の影野(かげの)と共に働いていたこのお店で取り扱っている本は、なんと、実際に買うことができるものもあります。
それがなんだかリアルで、読んでいて想像がしやすく、わたしにはとても印象的でした。
ざっと作中に出てきた(鴉翅堂書店に置いている)本のタイトルを挙げると、
- 『よるくま』(偕成社)
- 『あらしのよるに』(講談社)
- 『ぐりとぐら』シリーズ(福音館書店)
- 『100万回生きたねこ』(講談社)
- 『どんなにきみがすきだかあててごらん』(評論社)
- 『わすれられない おくりもの』(評論社)
- 『ベルサイユのばら』(集英社)
- 『王家の紋章』(秋田書店)
- 『かみさまからのおくりもの』(こぐま社)
- 『ハゴロモ』(新潮社)
と、こんな感じです。
話の展開上名前が出たタイトルは絵本が多めですが、紗月いわく、
実用書、哲学書、日本文学、ロシア文学、西洋史……現代ミステリー、恋愛、ファンタジー等の小説はもちろん、絵画や写真、紗月の好きな絵本や児童書、懐かしい漫画本など、多種多様なジャンルの本が豊富に取り揃えてある。
と、本好きにはたまらない魅惑のラインナップです。
また、「いかにも古書店らしい雰囲気」と表現されている、狭い通路、棚にぎっしりと、けれども丁寧に陳列された本、和風の栞やブックカバーが並べられたお店の店内は、読むだけで思わず行ってみたい! と思ってしまう魅力があります。
上記に挙げた本はいまでも買える本ばかりなので、買って読むとほんのちょっとだけ「鴉翅堂古書店」の気分が味わえるかもしれません。
もちろん、新品ではなく、あえて古本を買うとより臨場感が出ますね。
そして、このお話は、そんな「本」が人とあやかしを繋ぐキーアイテムになっています。
ですから、上記の本の中には、お話の重要な鍵になる本もあります。
どの本がどう関わってくるのかは、もちろん読んでからのお楽しみです。
そうそう、タイトル通り、このお話には「あやかし」が出てきます。
「鴉翅堂古書店」という名前も、なんだか関係がありそうですね……?
2 「神社で遊んだ記憶」というエモい過去×古書店×あやかしの魅力
アラサーのわたしはZONEの「secret base~君がくれたもの~」「H・A・N・A・B・I~君がいた夏~」、Whiteberryの「夏祭り」、倉木麻衣さんの「Time after time~花舞う街で~」等々のエモい曲が大好きなのですが、『恋古書店』はそれらの曲の雰囲気そのままのお話です。
ですから、少女漫画が好きな方は結構刺さるお話なのではないかなと思います。
紗月は、実は10歳までの記憶がありません。
交通事故に遭って記憶喪失となり、その記憶は戻らないまま大人になりました。
しかし、新潟に帰る直前から、ある夢を見るようになったのです。
それは、神社で男の子と一緒に遊んだり、約束をする夢でした。
「ありがち」と言われればそれまでですが、この記憶喪失という設定に弱いという人もいるのではないでしょうか。
それがどういう記憶なのか、「少年」は誰なのか、どんな約束をしたのか――、そして、お話の中でそれらを思い出すことができるのか。
少年に、再び逢うことはできるのか。
紗月が失ったままの記憶と、夢の中の少年とをつなぐのが「本」であるから、古書店が舞台なのです。
わたしにとってこのお話は、好きな癖をこれでもかと詰め込まれた欲張りセットでした……。
ハマらないわけがなく、夢中で最後まで読みました。
最初からたっぷり匂わせてくれているので、「少年」が誰なのかというのはすぐにピンとくると思うのですが、それでも更なる切なさをぶっこんでくる仕様になっていますので、涙腺の弱い方はご注意ください。
以前、このブログでは『妖怪アパートの幽雅な日常①』香月 日輪(講談社文庫)をご紹介しましたが、わたしは「妖怪」「あやかし」「物の怪」と呼ばれる存在も好きだったりします。
なぜかというと、ズバリ、見た目が可愛かったりカッコよかったりして、中身はミステリアスだけどなんだか優しい存在、であることが多いからです。
たとえば狐とか、猫とかのあやかしって、耳とかしっぽとかを普段は隠していて、主人公やそういう能力のある人だけにそれが見えて、正直な尻尾の動きにきゅんとしたり、もふもふを触ってみたりできるんですよ。
わたしはもちろんそういうのは見えませんが、想像するだけでわくわくします!
なんやかんやあって主人公に協力的な味方になったあやかしたちは、案外情に厚かったり、面倒見が良かったり、優しくてさらに好きになるのです。
そんな魅力的なあやかしが、このお話にも出てきます。
――ただし、善いあやかしばかりとは、限りませんけどね。
3 10歳までの記憶がない紗月と謎の多い影野の恋のゆくえは……?
失われた記憶を取り戻すには、なにかきっかけが必要です。
紗月にとってのきっかけは、故郷に帰ることでした。
そして、夢に出て来た神社や、影野に逢ったことで、徐々にその夢が鮮明になっていきます。
最初こそ元彼に裏切られ、
たった一つの恋に振り回され、結局、紗月はプライドも何もかも捨て、逃げてきてしまった。今も自分にはちっとも価値が見いだせない。
と思っていた紗月が、鴉翅堂古書店で働き、お客様と接したり、不器用な影野のフォローを受けることで、徐々に前向きになっていきます。
人生のどん底にいるときは、何をする気力もわきません。
ましてや、恋なんて。
そんな先が何も見えなかった紗月が影野に惹かれることでどう変わっていくのかにも注目です。
さてさて、ここまで主人公の紗月についての感想を書いてきましたが、影野さんは何者なんだよと気になっている人も多いかと思います。
影野さんは、表紙のイラストの通り着物を着た男性で、艶々した漆黒の髪、涼しげな二重の目は蠱惑的な雰囲気を醸し出しています。
見た目は二十代後半くらいで、性格は不愛想なツンデレ、口が悪い。
だけど、本に対する扱いは丁寧で、綺麗に補修し、お客様の好みに合わせた本を並べています。
紗月の視点で見ると最初の印象は良くないのですが、だんだん影野さんの良さがわかってきます。
なんならだんだんと優しいギャップにきゅんきゅんしてきます。
そんな影野さん、最初は苗字しか名乗ってくれず、下の名前がわかりません。
それどころか、プライベートなお話はほとんどしてくれません。
察しがついている人はもうたくさんいると思いますが、影野さんの「正体」は実際に読んで答えあわせをしてみてください。
そして、紗月の恋は実るのかもぜひ、最後まで見届けてください。
『恋古書店』の他にもあやかしが出てくる本が!蒼井 紬希先生の他の作品も紹介
蒼井 紬希先生の作品は、今作以外にも「あやかし」と名の付くものがいくつかあるのでご紹介します。
- 『あやかし万来、おむすび処はじめました。 押しかけ仮旦那と恋患いの狐』(富士見L文庫)
会社を辞め、商店街の空き店舗に追い出されてしまった望未。
空腹で行き倒れていた男性におむすびを渡すと、「俺の嫁になってくれ!」といきなり求婚され……というお話。
わたしは料理や食べ物が出てくるお話も大好きなので、この本も機会があったらぜひ読んでみたいです。
商店街にあるおむすび屋さん……絶対に美味しいと思う!
- 『あやかし恋手紙~不思議な社務所の代筆屋さん~』(TO文庫)
失業と失恋でもうどうしようもなくなった碧梨は、亡き祖母の手紙に導かれ、新潟のとある寂れた神社を訪れる。
そこで出逢ったのは、口が悪いが美形の妖狐・琥珀だった。
碧梨は弱みを握られてしまい、同居の傍ら妖怪と人とをむすぶ手紙の代筆をすることとなり……というお話。
ここでも新潟の神社が出てきますね。
そしてわたしの、大好きな、妖狐(美形)が……っ!
お手紙を主人公が代筆するというのが面白そうなので、こちらもぜひ読んでみたいです。
『あやかし恋古書店』以外にも蒼井 紬希先生の本が読みたい! と思ったときにぜひ参考にしてみてください。
『あやかし恋古書店 ~僕はきみに何度でもめぐり逢う~』のまとめ
記憶って、だんだん薄れてしまいますよね。
この本を読んだことも、いつかは忘れてしまうのかもしれません。
けれど、わたしは影野さんの
「記憶がなくなっても、魂が憶えている。だから意味がなかったなんてことはない」
という言葉で、もしいつか忘れてしまっても大丈夫なんだな、と思えました。
魂が憶えているから、きっと何度でもめぐり逢えるはずです。
そう、それは、本も人も同じ。
さらに影野さんの、
「本が必要な人間の手にわたるように、おまえにとって必要な人間はいつか、目の前に現れるよ」
という言葉で、いつかそういう人が現れたらいいなと思いました。
もちろん、面白い本にもたくさん出逢えたらいいな。
あやかしも人と同じように本を読むし恋もするし寿命がある。
本が人とあやかしをつなぐ、切なくてあたたかい恋のお話でした。
気になった方はぜひ読んでみてください。
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