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こんにちは。
「夢と読書 一期一会BOOKS」の萌菜花です。
今回わたしが読んだ本は『ゆきうさぎのお品書き 8月花火と氷いちご』小湊 悠貴(集英社オレンジ文庫)です。
「ゆきうさぎのお品書き」シリーズの第2巻となるこちらは、19歳の碧の2月~8月までを描いたお話です。
1巻の『ゆきうさぎのお品書き 6時20分の肉じゃが』は、祖母のお店だった小料理屋「ゆきうさぎ」を受け継いだ大樹くんと、大学生の碧を中心に、「ゆきうさぎ」の向かいにある「桜屋洋菓子店」の蓮と星花(せいか)などの視点で話が進んでいました。
2巻はさらに登場人物が増え、1巻では語られていなかった碧のお母さんの話や、わたし念願の大樹くん視点のお話もあり、最初にお客さんを連れてきた不思議な野良猫――武蔵(注・大樹くん命名。いろんな人にいろんな名前で呼ばれている)に相棒が加わり、さらににぎやかになっています。
読めば必ずお腹が空く美味しそうな料理の数々はそのままに、この巻もときにせつなくほっこりするお話が詰まっています。
ちなみに1巻の感想はこちらです⇩
- 『ゆきうさぎのお品書き 8月花火と氷いちご』のあらすじ
- 『ゆきうさぎのお品書き 8月花火と氷いちご』と小湊悠貴先生について
- 『ゆきうさぎのお品書き 8月花火と氷いちご』の感想
- 「ゆきうさぎのお品書き」シリーズは漫画化もされています
- 『ゆきうさぎのお品書き 8月花火と氷いちご』のまとめ
『ゆきうさぎのお品書き 8月花火と氷いちご』のあらすじ
商店街のなかにある、小料理屋「ゆきうさぎ」は、亡き祖母の店を継いだ若き店主・雪村 大樹と、大学生の玉木 碧(通称:タマ)、書店とかけもちをしている三ヶ田(みかた) 菜穂(通称:ミケ)が切り盛りしている。
「ゆきうさぎ」では、亡き祖母(先代店主)が唯一レシピを教えてくれなかった料理――お店の裏メニュ―でもある豚の角煮やお弁当、メンチカツ、7月からは手づくりシロップのかき氷の提供をはじめて、今日も和やかに営業中。
料理と野良猫が人をつなぐ、ほっこり切ない人気シリーズ「ゆきうさぎのお品書き」シリーズ第2巻。
『ゆきうさぎのお品書き 8月花火と氷いちご』と小湊悠貴先生について
『ゆきうさぎのお品書き 8月花火と氷いちご』
定価:550円+税
2016年7月25日 第1刷発行
小湊 悠貴(こみなと ゆうき)
神奈川県出身、神奈川県在住。
2013年ロマン大賞受賞。
「ゆきうさぎのお品書き」シリーズ(集英社オレンジ文庫)を刊行する以前は、コバルト文庫にて『スカーレット・バード』、『黒猫館の夢見る天使』、『十三番目の女神は還らない』などを発表している。
『ゆきうさぎのお品書き 8月花火と氷いちご』の感想
1 読めば「ゆきうさぎ」に行きたくなる! お客さんを魅了するお品書き
「ゆきうさぎのお品書き」シリーズを通しての魅力は、やはり「料理」です。
表紙になっているキャベツたっぷりのメンチカツや、練乳のかかった手作り苺シロップのかき氷、豚の生姜焼き、角煮、ナスの肉味噌炒め、鯛の昆布締め……。読んでいると食べたくなるものばかりです。
それら「ゆきうさぎ」で提供している料理がどれも美味しいからこそ、新しいお客さんから常連客まで、色々な人に愛されているのです。
2巻は常連客の話だけでなく、新しいお客さんが増えたり、過去のお客さんにまつわるお話も出てきます。
常連客にはそれぞれ好みがあったり、常連客にしか頼めない裏メニューである豚の角煮があったり、事情があって「ゆきうさぎ」に行けない常連客のためにお弁当を作ったり……店主の大樹くんがすごくお客さんを大事にしているのがわかって、ますます行ってみたくなります。わたしも常連さんになりたい!
それから、手順や野菜を選ぶときのコツなど、ちょっとした豆知識を知ることができるのも、「ゆきうさぎ」ならではです。
たとえば2巻の冒頭、若店主の大樹くんが、日替わりの定食を豚肉の生姜焼きにしよう、と考えているシーンでは、
豚肉は、疲労回復や夏バテ防止に効果がある。塩と生姜も効くだろう。
と、今の時期にぴったりな情報を教えてくれます。わたしは思わずメモをとりました。
それから、碧が大樹くんに頼まれて、キャベツを買ってくるシーンでは、
(いいキャベツは葉っぱがきれいで、つやもある。芯は白くて割れてないもの……)
と考えながらキャベツを選んでいました。みなさんは美味しいキャベツの選び方をご存じでしょうか。わたしは恥ずかしながら知りませんでした……。スーパーに行ったらよく見て選ぼうと思います。
このように、何気ないシーンからも料理に対する丁寧さがうかがえます。
今回はサブタイトルに「8月花火と氷いちご」と明記されていることからこの本を読んだのですが、この氷いちごの回もめちゃくちゃ癒されますしお腹が空きます。何せこの苺シロップ、手作りです。
大樹くんの家には縁側があり、みんなで食べるシーンがあるのですが、それも風情があってわたしも食べたくてお気に入りです。
2 お客さんを呼ぶ不思議な野良猫・武蔵に新たな相棒が⁉
1巻からある意味大活躍している不思議な野良猫・武蔵(注・大樹くん命名。いろんな人にいろんな名前で呼ばれている)は、黒白の大きな体、性格は気まぐれで侍のような風格がある猫です。
対して、2巻冒頭でちゃっかり増えた新たな猫・虎次郎(こじろう)は、小柄な痩せ型、愛想がよく大樹くんが撫でても嫌がりません。あ、茶虎の猫なので「虎次郎」と大樹くんは名づけたみたいです。
この2匹の猫、2巻の中でもちょこちょこ出てきては新たなお客さんを「ゆきうさぎ」に呼び寄せたり、すごく大事なところで出てきたりして、「中に人が入っているのでは?」と個人的に思ってしまったほど、作中で良い仕事をします。
そのアシストっぷりに思わず碧も、
「……ねえ。あなたたちって、ほんとはいったい何者なの?」
と問いかけてしまうほど。今後も重要な存在になりそうです。
このように「ゆきうさぎのお品書き」シリーズでは、野良猫の武蔵と虎次郎が出てきます。「ゆきうさぎ」の従業員である玉木 碧と三ヶ田 菜穂は、苗字をもじって「タマ」「ミケ」と呼ばれています。
小湊 悠貴先生の他の著書に、「ホテルクラシカル猫番館」シリーズ、『黒猫館の夢見る天使』と、「猫」が出てくる話が多いので、先生自体が猫好きなのでしょう。
特に、「ホテルクラシカル猫番館」シリーズは、どの表紙にも猫が描かれていてとっても可愛いので、こちらも機会があれば読んでみたいなと思っています。
3 1巻で気になっていた若店主・大樹くんの家族や、碧のお母さんについても……!
1巻ではあまり触れられていなかった若店主の大樹くん。
現在は祖母のお店を受け継ぎ、店舗兼住宅である元祖父母の家に一人暮らしであることは描かれていましたが、やっと新たな情報が!
1巻同様に2巻も序章は大樹くん視点になっており、やっと家族関係も判明しました!嬉しいっ。
実家は神奈川にあって、お母様も料理上手。大樹くんがお土産を持って実家に帰ると、手作りのおかずを持たせてくれる、とても良好な家族関係のようです。
序章は大樹くんの何気ない朝の風景ですが、それがまた良し。
「お母さん」といえば、2巻では碧のお母さんがメインのお話もあります。
1巻では「ゆきうさぎ」の常連客である玉木さんとその娘である碧メインのお話はありましたが、碧のお母さん――知弥子(ちやこ)さんメインのお話はありませんでした。
知弥子さんが中学校で教師をしている姿を見て、碧も先生になろうと教育学部に通っています。しかし、どんな先生なのかというのは描かれておらず、気になる存在でした。
それが、2巻を読むととても生徒想いな先生であることがわかります。
それに、この知弥子さんメインの回(「5月病にはメンチカツ」)を読むと、やはり「ゆきうさぎ」という場所は、料理で、時間すらも超え、人と人とをつなぐのだと感じました。
わたしも、小さい頃から通っているお店がありますが、美味しいからまた行きたくなるし、美味しいから人にすすめたい・一緒に食べたいと思うんですよね。
そう思えるお店があるのは幸せなことだなと思いました。
また、「ゆきうさぎのお品書き」シリーズでは、さまざまな家族のかたちが描かれています。ですが、大樹くんのように円満な家庭ばかりではありません。
けれど、どんな人のこころも癒してくれるのが、美味しい料理なのです。
このシリーズは全10巻あり、あと8冊あります。そのどれもに共通して「家族」「料理」「猫」が鍵になるのでしょう。最後まで楽しみたいと思います。
「ゆきうさぎのお品書き」シリーズは漫画化もされています
実は、この「ゆきうさぎのお品書き」シリーズは漫画化しています。
マーガレットコミックスDIGITALは全9巻、ヤングジャンプコミックスでは全2巻出ており、どちらも完結済のようです。
ただし、この漫画で描かれているのはマーガレットコミックスDIGITALでも原作2巻のはじめの回までですので、シリーズを全部楽しみたい!という方には原作を読むことをおすすめします。
逆に原作は、表紙の美味しそうな料理のイラストが毎回目を引きますが、登場人物のイラストは一切ないため、碧や大樹くんの立ち絵が見たい! という方には漫画をおすすめします。
原作にハマると漫画も読みたくなっちゃいますよね……。前回の『ゴーストハント』もそうですが、読みたい本、漫画が無限にあって一生読書は飽きないと思います。
気になる方はぜひこちらも読んでみてください。
『ゆきうさぎのお品書き 8月花火と氷いちご』のまとめ
人と人とを料理でつなぐ「ゆきうさぎのお品書き」シリーズ。
第2巻は「ゆきうさぎ」の従業員の3人だけでなく、その友達や家族、常連客にスポットが当たり、謎の猫武蔵に相棒が加わったことでさらに広がりが見えた一冊でした。
作中に出てくる料理たちがどれも美味しそうで、レシピ本があればいいのに……と思いました。
1巻からナチュラルに仲の良い大樹くんと碧ですが、今後さらに距離が近づいていくのかな? そちらも楽しみです。
気になる方はぜひ読んでみてください。
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