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こんにちは、「夢と読書 一期一会BOOKS」の萌菜花です。
今回ご紹介する本は『ゆきうさぎのお品書き 6時20分の肉じゃが』です。
このブログでは新たなジャンルとなる、『ライト文芸』が読みたい! と思い、この本を選びました。
『ライト文芸』は『ライトノベル』を大人向けにしたジャンルで、『ライトノベル』と『一般文芸』の間に位置し、比較的読みやすい小説が多いです。
わたしのような人の他にも、
・普段はあまり小説を読まない
・読みやすい小説を知りたい
・美味しそうなごはんが出てくるお話が読みたい
そんな方におすすめの一冊です。
本の情報と本の内容、感想を本の中の言葉を引用しながら書きたいと思います。
気になる方はぜひ、最後まで読んでください。
なお、こちらは「夢と読書(ラクマで古本屋モドキ)」にて、実際に販売中の商品になります。➡売れました
この本について
ゆきうさぎのお品書き 6時20分の肉じゃが
著者:小湊 悠貴
定価:570円+税
2016年2月24日 第1刷発行
(集英社オレンジ文庫)
小湊 悠貴(こみなと ゆうき)
神奈川県出身、神奈川県在住。
2013年ロマン大賞受賞。
コバルト文庫に『スカーレット・バード』、『黒猫館の夢見る天使』、『十三番目の女神は還らない』がある。
どんな本?
1月5日、18時。東京ではめったに降らない牡丹雪が降っている。そんな寒い日に、『小料理屋 ゆきうさぎ』は再開した。
昨年の秋に亡くなった女将――祖母の店を受け継いだ大樹は、3ヶ月ぶりにお店を開けようと、真っ白な暖簾を吊り上げた時、現れたのは1匹の猫。そして導かれるように3人の客が訪れる。
若き店主の小料理屋を舞台にした、食事で繋がる物語。
どこが良かった?
①本が苦手、ライトノベルもあんまり、という人にちょうどいい『ライト文芸』
『ライト文芸』は読みやすい小説であることが特徴です。特に『集英社オレンジ文庫』は女性向けのファンタジックなお話が多く、巻末にある別のお話の広告は気になる作品がたくさんありました。
かといって、ライトノベルのように主人公が学生だったり、はちゃめちゃな展開だったり、マンガのような挿絵があるわけではなく、一般文芸ほど難しい言い回しや単語も出てこないので、読みやすく読書初心者の方におすすめです。
『ゆきうさぎ~』でいえば、『小料理屋 ゆきうさぎ』を舞台に、様々なお客さんが訪れてきます。開店当初、野良猫とともに訪れたのは3人。かつての常連客であった玉木、野良猫を追いかけていたらたどり着いたという、二十歳前後に見える女性。同じく猫に導かれて来店した、三十代半ばくらいの男性。その他にも、魅力的な人物が次々に登場し、物語が進んでいきます。
この野良猫もたびたび出てきますが、鍵になるのはやはり料理。1話ごとにタイトルになっている料理が、物語の重要な鍵になります。
②料理がもれなく美味しそう!
わたしは料理にまつわるお話や、エッセイを読むのが好きです。ほっこりあたたかな気分になれますよね。
このお話も、『小料理屋』が舞台なだけあり、様々な料理が出てきます。
常連客である玉木の好きな『あれ』こと、熱燗。
ごはんがあまり食べられなくなってしまった碧に、大樹が作って出したほうれん草のポタージュ。
それぞれの話のタイトルになっている、肉じゃが、プリン、鍋。
そしてお話の中でさりげなく出てくる『ゆきうさぎ』のお品書きたち。
読んでいると出来立ての熱々の料理たちが勝手に頭の中に出て来て、『ゆきうさぎ』に行きたくなります。
『ライト文芸』ですが、登場人物のイラストはありません。表紙はどーんと大皿で出された肉じゃが。それから秘伝のレシピで作られたポテトサラダ。ほかほかと湯気が立ち上る茄子の揚げびたし……この表紙だけでぐっと心掴まれるものがあります。
もちろん出てくる料理は手作り。さらりとその工程も書かれているので、肉じゃがって本来はこんなに手間のかかる料理なのか……ととても勉強になりました。
③食事を通じて繋がる物語にほっこりする
『ゆきうさぎ』を訪れる人たちは、それぞれに事情を抱えています。それでも、ごはんを食べることで元気になったり、親子の絆が深まったり、癒されたり……。料理はすごい力を持っているのだと改めて実感させられます。
サブタイトルにもなっている第1話、「6時20分の肉じゃが」では、ごはんが食べられなくなってしまった碧が、大樹くんのごはんを食べることで、少しずつ食べられるようになっていきます。
わたしも、つらい思いをしてしばらくごはんが食べられなかった頃があります。そのときは本当に食欲が湧かないし、たくさんは食べられなくて、なんとか最低限のカロリーをとらなければ! と思ってなんとか食べていました。そのときに『ゆきうさぎ』に出会っていたら……。わたしが食べられるようになったきっかけも、他の人と一緒にごはんを食べたことでした。つらかったことをたくさん話して、もう泣かない! と決めて、食べました。ご馳走になったから食べられたのかも、と今は思えます。もう過去だから。
そんな頃の自分をほんの少しだけ重ねて、このお話を読みました。そんな風に自分と重ねて読んで楽しめるのも、読書の魅力です。
ブログのタイトルにしている、
「大事なのは一緒に食事をとることだから」
と言ったのは、店主の大樹くん。この本では『親子の絆』がテーマになっていたように思いますが、実は、大樹くんの家族についてはあまりふれられていません。
それは、もう、続巻に期待するしかない!
まとめ
このブログでははじめての『ライト文芸』、『ゆきうさぎのお品書き』でした。
こちらはシリーズもので、これ以降もお話は続きます。これから続けて読んでいきたいなと思いました。
気になる方はぜひ読んでみてください。