夢と読書 一期一会BOOKS

日々読んだ本をご紹介。「夢と読書(ラクマで古本屋モドキ)」にて販売中です。

本が売れない現代に一石を投じる本――拝啓、本が売れません(額賀 澪)

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作家にとって『本が売れない』というのは、大問題だと思う。
だって売れないと作家生命に関わるし。食っていかれんくなるし。
ただ、それはいち作家だけじゃなくて、出版業界全体の問題だったりもする。

こんにちは、「夢と読書 一期一会BOOKS」の萌菜花です。

みなさんは本ができる仕組みってご存知ですか?
作家さんが担当さんと頑張って書いて、本になるまでの過程。
少し前に校閲ガール」というドラマも放送されていたので、知ってるよーという方もいるかもしれません。

今回ご紹介する本は、『拝啓、本が売れません』
そのタイトル通り、発行部数が少なくなったことに危機感を感じた額賀 澪先生が、自分の本を売るための方法を探すお話です。

なお、こちらは「夢と読書(ラクマで古本屋モドキ)」にて、実際に販売中の商品になります。
古本では読みたくないな! という方はこちらをどうぞ↓

 

 

 

 

 

この本について

 

 

拝啓、本が売れません

 著者:額賀 澪
 定価:630円+税
 2020年7月10日 第1刷
 (文春文庫)

わたしが読んだのは文庫版なのですが、内容が違うので単行本(新書)もおすすめです。

 

額賀 澪(ぬかが みお)

  1990年、茨城県行方郡(現・行方市)生まれ。
  日本大学芸術学部文芸学科卒業後、広告代理店に勤務。
  2015年『ヒトリコ』第16回小学館文庫小説賞受賞『ウインドノーツ』(単行本改題『屋上のウインドノーツ』)第22回松本清張賞を受賞しデビュー。
  
  他の作品に『タスキメシ』『さよならクリームソーダ』『君はレフティ』『潮風エスケープ』『ウズタマ』『完パケ!』『競歩王』『風に恋う』などがある。

 

どんな本?

 

第16回小学館文庫小説賞・第22回松本清張賞をW受賞して華々しくデビューした額賀 澪先生。
その後何冊も本を出す中、徐々に初版部数が落ち、「本が売れない」という大きな危機感を抱えていく――。

そんな額賀先生が「自分の本を売るための方法」を取材し、一冊でも多く本を売るために奔走する。果たして本は売れるのか!?

ちなみにわたしが読んだのは『文庫本』は、単行本(新書)と内容が少し異なり、単行本(新書)が発売された後の後日談が描かれているため、単行本と文庫本の両方を読むことをおすすめします
わたしも単行本が読みたい!

 

読んでみてどうだった?

 

①作家さんたちにとって本屋は「戦場」である

 

普段から本をたくさん読んでいるのに、本ができるまでの過程や売れるための苦労を考えたことがなかったので、この本はとてもためになる本でした。

わたしは「古本屋モドキ」をしていて、普段は引きこもって在宅ワークをしています。まだまだ収入が安定しないのと、赤字は出したくないので、新刊はほぼ買いません。そのため今現在流行っている本はあまり買っていません。

では何を基準にして本を選んでいるかというと、それはもちろん「面白そうかどうか」です。
自分かお金を出して買って、なおかつ「古本屋モドキ」で販売をし、面白いよ! という感想やレビューをブログに書くため、自分で読んで本当に面白かった本をお届けしたいと思っています。あとは「きれいかどうか」というのもありますが。

その「面白そう」をどうやって判断するかというと、

タイトルや先生の名前に惹かれて手に取る(古本屋は平積みより並べられた本から選ぶ)

②表紙を見る(デザインがおしゃれだと開きたくなる!)

冒頭を読んでみて面白そうと思ったら買う

という流れになります。

これは購入者の視点になるのですが、みなさんもそうなのではないでしょうか?

わたしたちにとって本屋さんは大好きな場所で、とっても楽しい場所ですが、作家さんなど、本を作る人たちにとって本屋は「戦場」なんです。

本屋に並んでからの初速がとても大事
ロングセラーの本はずつと本屋さんに置いてあるけど、売れない本はそうではない。

これは本だけに限らずCDもそうだし、を売る業界の人にはみんなに通じる話だと思います。

この本は、ひとりでも多くの購入者が額賀先生の本を手に取って、レジに持って行ってもらえるように、額賀先生自身が色々な人に取材をして改善を図っていくお話です。

そのため、本が好きな人、作家を希望している人はもちろん、何かをたくさん売りたい人にも読んでみてほしいと思っています。

 

②裏側は大変、プロとしての葛藤も見え隠れする

 

この本は、本が売れることでご飯を食べている人たちがいるということを忘れてはいけないな、ということを改めて気づかせてくれました。

本が好きで読んではいるけど、売られているもの全部が読めるわけじゃない。
本文を引用していいますと、

「毎年百人を軽く超える新人作家が生まれ、五年後はほとんど行方不明」  


なのだそうです。

とても厳しい現実ですよね。

生き残るためには本をたくさん売らなければなりません。


先ほどわたしが本を買うまでの流れをご紹介しましたが、そうさせるには、

知名度がある

タイトルや表紙が目を引く

内容が面白い

店頭に大々的に置いてある

などなどの条件が必要になります。

知名度や内容が面白いかはもう、その作者さんや担当さんの頑張りによりますよね。
カバーはデザイナーさんにかかっているし、店頭にどう置くかどうかは店員さんにかかっている。

面白くて話題になった本は買いたいと思いますよね?
たとえば「○○賞を受賞」とか、アニメ化やコミカライズ、ドラマ化、映画化、などがあります。

メディアミックスされるまでの過程とか、本ができるまでの過程実際のゲラプロットプルーフまで惜しげもなく載せられています)、文庫化について、印税の話、SEO対策プロダクトサイクルカバーデザインについて、など、この一冊で様々なことを勉強することができます

わたしは日々ブログを書いたり、記事を書いてお給料をいただいたりしています。ですから、作中にあった、

「Webの世界でも、文章を書けるって武器なんですよ」  


という言葉に、とてもとても嬉しくなりました。

武器と言えるほど上手ではないかもしれませんが、ブログや記事を読んでくれたら嬉しい。さらに『行動』をしてくれたらもっと嬉しい。

話がちょっと逸れてしまいましたが、みんなが「面白い」と思う本のほうが、売れる確率は高まるわけです。

でも、それは作家さんの書きたいものではないかもしれない

作家であれ、芸能人であれ、なんであれ。どんな仕事をしていても、一度はみんな悩むはず。

――これは、わたしのやりたいことなのだろうか?

と。

お客様や視聴者が求めるもの、と、自分がやりたいことの間でお仕事をしないと、嫌になってしまう。

額賀先生は色々な人を取材する中で、

私は≪売れる本≫が書きたいんじゃない。自分が「面白い!」と思った本を、売りたいんだ。  


と気づきます。

何かを作り上げて売ることの難しさは、ここにあるのかもしれません。

-

③カバーについて

 

それから、本を手にとる上で重要になるのがカバー。

単行本は特に自由度が高く、いろいろな装幀の本がありますよね。

以前ご紹介した『人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。』の中でも、

ベストセラーを買ったら、必ずカバーをデザインした人は誰なのか調べてください。  


と千田先生が言われていました。

今回、額賀先生が取材で伺った方は、デザイナーの川谷康久さん
この人がまた、めちゃめちゃすごい人なんです……!

文庫本は特に、同じ本でもカバーが変わると、なんだか印象が変わりますよね。
たとえば購入者の年齢層を変えるために、あえて文庫本ではカバーを変えることもあるそうです。

確かに、「文庫化にあたって加筆修正を行いました」みたいな一文を良く目にしますし、カバーが変わっていることもしばしばあります。それは、そういった考えがあるからなんですね。

そういったことをこの本で、はじめて知ることができました。

ここまで読んでくださって、もし興味をいただいていただけたら、ぜひ読んでほしいのですが、単行本(新書)と文庫本では多少内容が異なります
そして表紙も全く違うので、同じ本でも印象がかなり変わります。

内容については、どう違うのかは読んでほしいので書きませんが(わたしは声に出して驚きました)、ぜひ、できれば両方読んでみてください。

確かに、わたしもおしゃれな表紙だとそれだけで買ってしまうこともあるので、デザインは大事だなと感じました。

 

 

まとめ

 

額賀先生の本をはじめて読みましたが、作中で紹介されていた他の著書も読んでみたいなと思いました。

気になる方はぜひ読んでみて下さい。

 

 

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