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あけましておめでとうございます。
「夢と読書 一期一会BOOKS」の萌菜花です。
今年1冊目の本は「強運の持ち主」。
新年だからこそ、縁起の良いタイトルの本を読んでみませんか?
どんな本?
幸子は「ルイーズ吉田」という名前で占い師をしている。
職場である小さなショッピングモールには、様々な悩みを抱えたお客様が来店する。
お父さんかお母さん、どっちにしたらいいか? という男子小学生。
彼の気を引きたいと何度も訪れる女子高校生。
そして「おしまいが見える」という、就職を控えた大学生。
ひとりひとりと向き合いながら、幸子は「ルイーズ吉田」として人々の背中を押していく。
そして、幸子には付き合って2年が経ち、同棲している彼氏がいるが……。
大切な存在を思い出す、そんなあたたかな一冊。
本と著者について
強運の持ち主
著者:瀬尾 まいこ
定価:530円+税
2009年5月10日 第1刷
(文春文庫)
瀬尾 まいこ(せお まいこ)
1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文科卒業。
2001年「卵の緒」で坊ちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年同タイトルでデビューとなる。
05年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞、09年『戸田村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞を、19年には『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞。
その他に『優しい音楽』、『温室デイズ』、『僕らのごはんは明日で待ってる』などがある。
読んでみてどうだった?
1 繁盛しているのはルイーズ先生の「直観力」、そして「話術」にある
営業の仕事を辞め、得意の話術を活かして占い師になった幸子。
最初は時給の良さに惹かれ、占いの知識もないのにお客さんをとりました。
最初は本を見ながら占っていたけれど、そのうち直感を活かして占うようになり、それが評判になって独立します。
わたしは、占いは大きくわけて3種類あると思っていて、
①霊感を活かしたスピリチュアルな占い
②統計学に基づいた占い
③カードを使った占い
ルイーズ先生の場合は……①と②の間になるのかな。
結構当てずっぽうで無難なことを言っているので大丈夫か!? 口コミにそのまま書かれてしまうぞ!? と心配になってしまったのですが、大丈夫。
なぜなら独立できるほど「当たる」という評判があるから。
評判というものはすぐに落ちてしまいがちだけれど、結局はお客様に真摯に向き合い、良いお客様に恵まれたからなのだと思います。
実は彼氏である、通彦も元お客様。
だからこのタイトルにある本当の『強運の持ち主』は、幸子自身なのではないかな、と思います。
やってることはもはやカウンセリングに近い気もするけど、占いはそれに近いところにあると思うし、解決、の一歩手前にある『良い方向に進む気にさせる』のが上手で、お客様が絶えないんだろうな、と感じました。
悪いことだけ言う先生って、当たるとしても嫌じゃないですか。
作中で占ってもらった人の言葉を借りると、
「なんか楽しくなってきました。やっぱりルイーズさんの占いは最高ですね」
そう、まさにこれ。
この言葉にルイーズ先生の占いのすべてが詰まっていると思います。
2 悩みを抱えたお客様たち
占いのお店に足を運ぶ人は、恋愛や仕事、家族関係など、身近な悩みを抱えていることが多いです。
しかし、この本に出てくるお客様は一風変わった悩みを持つ人たち。
最初のお話「ニベア」のお客様はなんと小学生の男の子。
20分3,000円もするのに、何度も訪れるので驚きです。
占ってもらう内容は、
一回目:スーパーはどちらに行くべきか
二回目:図書係と掲示係のどちらになるべきか
と、どちらもなんだか微笑ましいですよね。
ルイーズ先生は一回目の占いでがっちりと小学生のハートを掴み、二回目、三回目も占うことになります。
三回目の内容は、
三回目:お父さんとお母さん、どっちがいいか?
えっ急に重たい内容が来たじゃん……と、ルイーズ先生も読者も思ったことでしょう。わたしも思いました。
この悩みにルイーズ先生はどう答えるのか?
このお話のタイトルである「ニベア」はどう関係してくるのか?
ぜひ想像しながら読み進めてください。
3 大切なひとを思い出す一冊
この本は「家族愛」がテーマになっています。
主人公の幸子は道彦と付き合っていて、同棲もしている。
まだ結婚はしていないようだけど、一緒に住んでいる時点で「家族」に近い存在だと思います。
わたしがこの本を好きだなぁと思ったのは、そんな幸子の何気ない日常が描かれているから。
「ルイーズ吉田」としてお客さまや師匠と話しているお仕事中の場面と、ただの「吉田幸子」として恋人の道彦と一緒にいる場面から進んでいくこの本。
そうか、占い師にも日常はあるんだろうなぁ、と想像させられます。
幸子が道彦と一緒にいるのは、幸子が猛アタックした、というのもあるけれど、ちゃんと道彦のことが好きだから。
お互いを助け合えるくらいには、許し許されている関係。
そして、わたしが大好きなのが、ふたりでジャスコに行くシーン。
ジャスコってとても懐かしい響きですが、めちゃくちゃ何気ない。
そこで買ったのは日用品。
恋人同士だけど、甘くもなんともない。
むしろ夫婦みたい。
だから、「家族」に近い。
ああ、そういう気を許せる関係って、いいなぁ。
「ジャスコ」はこの本のなかで、意外と重要なキーワードですので要チェック!
恋愛というよりは家族愛が強い本になっているので、どんな方でも読みやすいと思います。
そこまで長くなくちょうどいいので、新年のこの時期にぜひ、読んでみてください。
まとめ
占いと通して家族や身近なひとの大切さを思い出す一冊です。
気になる方はぜひ読んでみてください。
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