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こんにちは、「夢と読書 一期一会BOOKS」の萌菜花です。
今回ご紹介する本は「しあわせのパン」です。
大好きな秋! 久々に読書する時間が取れたので、どうせなら食べ物が出てくる本を読もうとこちらの本を選んでみました。
食べ物やカフェが出てくるお話が好きな方や、ハッピーエンドが好きな方などにおすすめの一冊です。
本の情報と本の内容、感想を本の中の言葉を引用しながら書きたいと思います。
気になる方はぜひ、最後まで読んでください。
なお、こちらは「夢と読書(ラクマで古本屋モドキ)」にて、実際に販売中の商品になります。
この本について
しあわせのパン
著者:三島 由紀子
定価:600円+税
2011年12月5日 第1刷発行
(ポプラ文庫)
三島 由紀子(みしま ゆきこ)
大阪府生まれ。父親が三島由紀夫の大ファンだったことから洒落で名付けられる。
近所の名画座に4歳から通い、18歳からインディーズ映画を撮り始める。大学卒業後はHNKに入局。ドキュメンタリー番組を中心に出がける。
フリーランスになってからは映画の脚本の執筆や、テレビドラマの演出などを中心に手がけ、映画『しあわせのパン』で初の長編映画監督を努める。
本書が初の小説である。
本屋とカフェと映画館をこよなく愛している。
どんな本?
りえは≪マーニ≫を探している。
北海道にある、湖面に映る月のきれいな小さな町、月浦には、水縞夫婦が営むオーベルジュ カフェ・マーニがある。
そこには様々客が訪れ、りえが淹れる珈琲や手作りの旬が味わえる料理、尚の焼くパンが、客のこころを癒していく。
誰かと一緒に食べる美味しさや、「愛」について考えさせられる本です。
どこが良かった?
食事や珈琲、パンに癒される
尚さんが焼く手作りのパンと、りえさんが淹れる珈琲、そして旬の素材を使った料理。それらがお話の中で出て来て、お客さんと一緒に食べるシーンがとても印象的なのですが、どれもが美味しそうで癒されます。
たとえば、尚さんが窯で焼いていた、トマトの輪切り。わたしは生のトマトが苦手で、細かく刻んで火を通さないと普段は食べられないのですが、このトマトは美味しそうだなと思いました。輪切りということは普段わたしが食べるのに躊躇する大きさですが、そんなわたしですらチーズを乗せてパンと一緒に食べたい……!と思えました。その後、外でりえさんが料理をしているシーンも必読です。
それからかぼちゃのポタージュ。ぎくしゃくした親子がカフェ・マーニで一緒にかぼちゃのポタージュを飲む印象的なシーンがあるのですが、こちらも美味しそう。
そして、物語の鍵になる、豆のパン。こちらを食べるシーンは、ぜひ読んでほしいです。
りえさんは大切に育てられた食材を大切に料理します。
そして道具も、物も、だいじにしている。
それなのに、自分のことはだいじにできていなくて、読んでいて悲しくなってしまいます。
愛やしあわせについて考えさせられる
カフェ・マーニには、様々なお客様が訪れます。
沖縄旅行を恋人にドタキャンされた香織、ぎくしゃくした関係の親子、最期の場所を探して訪れた老夫婦。そしてやさしい常連客たち。
それぞれに事情を抱えていて、マーニで穏やかな時間を過ごすことで、傷が癒えたり、前向きになれたり、仲が深まったりします。
そのきっかけになるのが食事。
手作りの温かい料理とパンをみんなで一緒に食べるだけで、満たされる。
それは水縞夫婦もまた、一緒でした。
わたしは読了感のあるほっこりあたたかいお話を読むのが好きなのですが、この本はまさにそれで、ココアを飲みながら読む至福のときが過ごせました。水縞夫婦についてのお話は最後の章にあるのですが、193ページ以降は「ん”ん”っ」と唸りながら読んだので、やさしいお話が好きな方にはぜひ読んでほしいです。きゅんとします。
きっと尚さんやりえさんのことが大好きになるはずです。
付録の絵本がすごい!
話の中に何度も出てくる絵本、を再現したページが、巻末に「特別付録」として付いています。絵本は横書き、左開きです。版画のような挿絵が印象的で、こちらも何度も読み返したくなります。
そのためか、奥付が開いてすぐのページにあってびっくり!
こういった作りの本、特に文庫本は珍しいです。
この絵本は作中に何度も出てきて、内容がとても重要になります。
左開きで巻末に収録されているということもあり、読むのは本編→絵本の順番になりますが、再読するときは絵本→本編の順に読んでみても、印象が変わって面白いかもしれません。
まとめ
読書の秋にふさわしい、誰かと食べる食事の大切さを描いた本です。
湖のほとりに建つカフェ・マーニ。
尚さんの作る手作りのパンと、りえさんの作るあたたかな食事、そして珈琲。
読むとそこに行きたくなるし、誰かと一緒に食事がしたくなる。
気になる方はぜひ、読んでみてください。