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こんにちは、「夢と読書 一期一会BOOKS」の萌菜花です。
今回ご紹介する本は「てのひらの恋」です。
大人の切ない恋が読みたい方や、江國 香織さんや小川 糸さんなどの有名作家の話がまとめて読みたい方などにおすすめの一冊です。
本の情報と本の内容、感想を本の中の言葉を引用しながら書きたいと思います。
気になる方はぜひ、最後まで読んでください。
なお、こちらは「夢と読書(ラクマで古本屋モドキ)」にて、実際に販売中の商品になります。
この本について
てのひらの恋
著者:江國 香織、小川 糸、小池 真理子、小手鞠 るい、崎谷 はるひ、瀧羽 麻子
定価:480円+税
平成26年1月25日 初版発行
(株式会社KADOKWA)
江國 香織(えくに かおり)
東京都生まれ。
1987年「草之丞の話」で「小さな童話」大賞、2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成賞を受賞。
そのほか『落下する夕方』、『抱擁、あるいはライスには塩を』など著書多数。
小川 糸(おがわ いと)
1973年生まれ。
2008年『食堂かたつむり』でイタリアのバンカレッラ賞を受賞。
そのほか『あつあつを召し上がれ』『ようこそ、ちきゅう食堂へ』などがあり、旅や食に関する著書やエッセイのファンも多い。
小池 真理子(こいけ まりこ)
1952年東京都生まれ。
1989年『妻の女友達』で日本推理作家協会賞(短編および連作短編編集部門)を受賞。1995年『恋』で直木賞、1998年『欲望』で島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で柴田錬三郎生、2012年『無花果の森』で芸術選奨文部科学大臣受賞、2013年『沈黙のひと』で吉川英治文学賞を受賞。
そのほか、『薔薇いろのメランコリヤ』、『青山娼館』などの著書がある。
小手鞠 るい
1956年岡山県生まれ。
1993年「おとぎ話」で「海燕」新人文学賞を受賞。2005年『欲しいのは、あなただけ』で島清恋愛文学賞、2009年絵本『ルウとリンデン 旅とおるすばん』(絵:北見 葉胡)でボローニャ国際児童図書賞を受賞。
そのほか『空と海のであう場所』、『永遠』など著書多数。
崎谷 はるひ(さきや はるひ)
1998年『永遠の雫』で作家デビューしたBLのヒットメーカー。
代表作は「ブルーサウンド」シリーズ、「慈英×臣」シリーズなどがある。
『トオチカ』で始めて女性主人公の恋愛小説を執筆した。
ドラマティックな展開や、濃密な心理描写に定評がある。
瀧羽 麻子(たきわ あさこ)
兵庫県生まれ。2004年京都大学経済学部卒業。会社勤めのかたわら執筆活動をしている。
2006年「まゆちゃん」で「きらら」携帯メール小説グランプリ06を受賞。2007年『うさぎパン』でダ・ヴィンチ文学賞を受賞。
そのほか、『はれのち、ブーケ』、『白雪堂化粧品マーケティング部峰村幸子の仕事と恋』などの著書がある。
どんな本?
大人な恋を描いた6つの物語をおさめたアンソロジー。
・女友達(江國 香織)
暴力癖のある雅彦となぜか別れない百々子が、幼馴染の多喜ちゃんの紹介で中華料理屋にて明日美さんと出会う。
・十二時間三十分(崎谷 はるひ)
ロンドン行の空港で、千里子が高校の同級生である井本くんと再会する。
・さようなら(小手鞠 るい)
雨の日にあの人と出逢い、お付き合いをして、そして。
・ひとなつの花(小川 糸)
受験勉強のために逗子に来た蜜生と、家出少女・花とのひとなつの話。
・おやすみ(瀧羽 麻子)
透明人間の僕と、彼女の日常。
・バスローブ(小池 真理子)
パリのカフェで亮を待ちながら、わたしは夫との別れを回想する。
表紙からすると甘酸っぱい恋を想像しますが、なかなかビターですので、ほろ苦い大人な恋の話を読みたい方におすすめします。
読んでみてどうだった?
色々な作家さんのお話が一冊で楽しめる
約500円で6人の作家さんの話が読めると思うと、とてもお得です。
「恋」と一口に言っても、いろいろな恋があります。
こういったアンソロジーは好きな話を見つけることが出来ますし、知らない作家さんの話を読むことも出来ます。
誰か知っている作家さんを目当てに買って、お気に入りの話や作家さんが見つかると、とても嬉しいですよね。
色々な恋のかたちがあることに気づく(それぞれの感想)
今回は6編ありますので、それぞれの感想を書きたいと思います。
女友達(江國 香織)
最初から「えっ?!」と驚くお話。どうしてこの話を最初に持ってきたのか……。
暴力をふるう雅彦とそれでも一緒にいる百々子の気持ちはまったくわからないけど、女友達と話しているときに雅彦のことを思い出していたから、好き、なのでしょう。
それも恋や愛の形なのかもしれないけど、結果友達無くしそうだな、とも思いました。
タイトルは「てのひらの恋 けれど、一番大切なあの人との記憶。」ですので、この「けれど、~」の部分がこうなるわけですね。わ、訳ありだー。
ということで、この本はちょっと不思議な設定が多いです。
十二時間三十分(崎谷 はるひ)
このお話は良かったー再会できて! とこころから喜ぶことのできた唯一の本。
井本くんがいわゆる「スパダリ」過ぎて、確かに付き合うにはハードルが高いのかもなぁと思う反面、わたしはこういう人がいいなぁと思いました。
6つお話がありますので、登場人物も様々。比べることができるのもアンソロジーの魅力です。ちなみにわたしは一番井本くんが好きです。他の人はちょっと……。
さようなら(小手鞠 るい)
こちらも読みながら「えっ!?」と戸惑ったお話です。出逢ってお付き合いして、までは良い流れで、いやだけどタイトル「さようなら」なんだよな……と不穏な空気を察しながら読んでいたら、演歌みたいな展開に。別れの場面はなぜか海が似合うのは歌詞やドラマからの刷り込みでしょうか。
何度読んでもわからなかったことがあってちょっともやもやし、結末をどちらの意味でとらえようかと悩み、仮に字面通りにとったとして、『最後にあの人が「くしろ」と言ったときの口の形』は、きっと主人公の名前だったのではないか、と。
にしてもこれはすごくあの人の印象が悪くなるお話。
で、あの時あの人は何を言ったの……?
ひとなつの花(小川 糸)
訳ありな男の子と女の子がひとつ屋根の下で過ごすひと夏の短くて儚くてほろ苦い恋のお話なんですが、この中でも小川 糸さんらしさを感じる一文がありました。
それは、
「恥ずかしくないよ。おなかが空くってことは、生きようとしている証拠でしょ」
という蜜生(みつお)の台詞。変わった家庭環境の中でも蜜生くんが割とまともな感覚で生きているのは、きっとお母さんがまっとうな人だったからなのだろうと思います。
いや、やってることはまっとうじゃないんだけど。でも、ちゃんと信念があるというか。
最後はとても哀しい終わり方なのだけど、また会うと信じたい。
おやすみ(瀧羽 麻子)
これはまた不思議な話。見守ってくれてたりサポートしてたりやさしい一面はあるのだけど、自分にこんな透明人間が憑いていたら怖い。普通に怖い。知らんうちに抱きつかれてるとか怖すぎる。
まあ、この透明人間の僕についての考察が面白くて、彼女とどういう関係なんだろうなぁ、と読みながら考えていました。わたしの想像ではただの地縛霊なんですが、もうちょっとロマンチックに考えると、元恋人、とか。
いや彼女ストレス抱えてたみたいだから、それは僕のせいでは……と思ったりも、して。
色々想像するのが楽しいお話です。
バスローブ(小池 真理子)
これもなかなか「ん?」となるお話。
わたしは維持を張っていたし、夫はわたしの行動に対して腹を立てていた。というかわたしの言ったことを信じようとしていた。
亮君は巻き込まれたわけなのだけど……君年下の恋人いたよね!? どうなった!?
いや考えるまでもない、だってふたりはパリにいるのだから。
タイトルからこの展開を察せなくはないのだけど、まあ、きちんとそのあたりが解決して今に至るのなら、いいか。
なんだかうまくいきそうだし。
順番的にもこれが最後で良かったなぁと思ったお話です。
お話がいくつかあると、掲載順を考えるのも楽しいですね。
まとめ
この6つのお話は、「けれど、」がすごく効いているほろ苦いお話ばかり。
短編ですので、どれも大事なことが書かれていなかったり、その後がなかったり、想像で補完することが多く、想像力が掻き立てられます。
また、登場人物や話の内容を比べたり、順番を考えるのも楽しいです。
ハッピーエンドを好む人にはつらい展開のお話もありますが、こういうことには気をつけなきゃな、といい勉強ができるかもしれません。
気になる方はぜひ読んでみてください。