夢と読書 一期一会BOOKS

日々読んだ本をご紹介。「夢と読書(ラクマで古本屋モドキ)」にて販売中です。

見栄を張らず、本音を話せる相手を作れば、きっと老後も楽しく過ごせる――老後の資金がありません(柿谷 美雨)

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 祖母がついに施設に入った。
 施設は人の目があるし、ごはんは出てくるし、何かあれば連絡がくるから安泰。
 そう、お金があれば、ね。

 施設は家ではないから、何もかもにお金がかかる。もらった年金はほぼ飛んでいく。それでも安全や健康や手間や時間を考えたら、他に方法はなかった。

 祖母はどうにかひと段落したけど、両親は? わたしは?

 老後にかかるお金はうん千万?
 
 そんなお金、あるわけないじゃん!


 こんにちは、「夢と読書 一期一会BOOKS」の萌菜花です。

 本日ご紹介する本は『老後の資金がありません』です。

 そう、ないんですよ、老後の資金なんて。
 今を生きるので精一杯。
 なんなら今は貯金を崩しながら生きてる。

 そんなんで老後のこととか、考えられないよね……。
 
 と、いうことで、今回の本。
 2021年に映画化された時の表紙のものを読んだのですが、映画の表紙ほどコミカルではなかったかな。

 しかし、老後を迎えるに当たって大切なことを知ることができた一冊です。

 

 

 

 

 

どんな本?

 

 後藤篤子は金銭感覚のしっかりしている、ごく普通の主婦
 あと3年で定年を控えた夫と、結婚を控えた長女もうすぐ就職する長男がいる。
 やっと子育てから手が離れ、ゆっくりと老後が過ごせる……と、思いきや!?

 娘の結婚式や新婚旅行などのもろもろでお金が消え、舅の葬儀費用にお金が消え、あげくの果てに夫とそろって職を失い、あてにしていた退職金はなし! 貯金はかなりの額が減り夫の母への仕送りもある! どうする!? どうなる後藤篤子!?
 

本と出版社について

 

老後の資金がありません

 定価:640円+税
 2018年3月25日 初版発行
 (中公文庫)

 ※2015年9月 中央公論新社


 垣谷 美雨(かきや みう)

 1959年兵庫県生まれ。
 ソフトウェア会社勤務を経て、2005年『竜巻ガール』で小説推理新人賞を受賞し、デビューとなる。
 テレビドラマ化された『リセット』、『夫のカノジョ』、『結婚相手は抽選で』の他に、『四十歳、未婚出産』、『夫の墓には入りません』、『姑の遺品整理は、迷惑です』、『うちの子が結婚しないので』、『うちの父が運転をやめません』、『希望病棟』など著作多数。

 

内容はどうだった?

 

1 老後はお金がかかるイベントがいっぱい!

 

 長女が結婚して、長男も就職。
 夫はもうすぐ定年だけれど、65歳まで延長できるし、主人公の篤子もパートで働いている。
 なんだー、あとは悠々自適に年金生活じゃーん。

 なーんて。

 そうなっていたらもうこのお話はおしまいです。即ハッピーエンド!

 いやいや、タイトルの通り『老後の資金がありません』という状況になってしまうのです。

 少しネタバレになってしまいますが、

・娘の結婚などにうん百万
・舅の葬儀費用にうん百万
・夫と篤子は失職(すぐに再就職は難しい……)
・夫の母への仕送りが月うん万

 わ、わぁ……!

 ついちいかわみたいな声が出てしまいました。これはピンチ過ぎる!

 一応失業手当が出ますし、年金も60歳からもらうこともできなくはないですが……額が減ってしまいます。

 さらに、孫ができればお祝い金だのお年玉だのがかかるし、親が生きていれば介護費用で足りなくなったお金は子どもたちが出さなければなりません。
 病気をすればお金がかかるし、仕事をやめれば保険料や税金は自分たちで払わなければならなくなるし、そもそも生活費かかるし、光熱費かかるし、車があれば維持費も、家があれば家賃やローンが!

 子育てがひと段落したからと言って、安心してはいけません。
 
 篤子も言っていたけれど、残念ながら。

 気づかない間に、日本は賢い人間しか生き残れなくなったらしい。  

 いや、ほんとこれ。
 いちいち説明はしてくれない。

 

2 見栄を張ると損をする

 

 この本はわたしにとって、すーごく共感できるところが多かったのですが、特に共感したのが篤子と夫の章さん

 自分の両親を見ているのかな?
 というくらいにリアルでした。

 夫の章さんは、見栄っぱり
 そして楽観的。金銭感覚がしっかりしていないし、篤子まかせ。
 さらには長男である。

 仕事は、そら、大変だと思うんですけど、家事だって大変。
 そのあたりを、冒頭の章さんはあまり理解していません。

 打って変わって篤子は、

 しかし、夫には定年退職があるが、自分は死ぬまで家事から逃れられない。  

 と言っている。
 そう、生きてる限りは誰かがごはんの支度をして、洗濯をして、掃除をして、ごみを出さないといけない。
 ヘルパーや家政婦、施設に入るという選択肢もあるけれど、それにはお金がかかる。

 結局、見栄を張ったせいで結婚資金と葬儀の費用で、一瞬にして多額のお金が吹っ飛んでいきます。こわい。

 結婚も葬儀も経験する回数が少ないので、よく調べておかないと、相場の金額ってわからないんですよね。

 篤子が舅の葬儀のプランをプランナーさんと検討しているとき、「みんなはこうしている」というプランナーさんの声に乗せられて、結局そこそこ高いプランを選んでしまいます。

 それに、女性だけの世界の中では、噂話がつきもの。
 周りの目を気にしてしまうと、結局見栄を張ってしまいます。

 

 ちなみにこちら⇩のサイトならお安く素敵な家族葬が出来るようです。
 篤子のように急にばたばたしないように、今から準備しておいてもよいかもしれませんね。

  

 

3 持つべきものは信じられる友!

 

 映画版の表紙は結構コミカルな感じで、面白要素が多めの小説なのかなーと読み進めていると、話はなんだか不穏な雰囲気に。

 あれ、これ、大丈夫……? と、途中不安になりながら読みました。
 とてもハラハラしました!

 この本を読んで感じたことは、『つらい時につらいと言える友だちの存在が必要不可欠』ということ。

 なぜ『友だち』なのかというと、親は年老いるから

 『友だち』は年齢を問わず、色々な歳の人がいていいと思うのですが、『見栄を張らずに言いたいことが言い合える関係』というのがとても大事。

 いつの時代もそう。
 老後じゃなくて、今でもそう。

 『楽しい』を共有するだけでなくて、『つらい』と言える友だち。

 そんな存在がいるならば、ずっと大切にしましょう。
 もちろん、自分が頼るだけでなくて、相手がつらそうにしていたら、「どうしたの?」と言える関係でありましょう。

 それだけで、老後はきっとどうにかなります。
 だってひとりじゃないから。
 悩みをひとりで抱えこまなくていいから。
 たまには愚痴をいって、一緒においしいごはんでも食べて、一緒に解決方法を探す。

 当たり前なんだけど、そうだよね、と思うお話でした。

 あと、そうだな、女性はいつだって強い!

 

まとめ

 

 老後は不安しかないけれども、やり方次第でどうにかなる
 見栄はいらない、必要なのは頼れる友だち! そんな当たり前のようで気づかない、大事なことを教えてくれたお話でした。

 気になる方はぜひ読んでみてください。

 


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