夢と読書 一期一会BOOKS

日々読んだ本をご紹介。「夢と読書(ラクマで古本屋モドキ)」にて販売中です。

『自立する』って、きっとこういうこと。――魔女の宅急便(角野 栄子)

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 十三歳の満月の夜。
 ≪魔女≫はひとり立ちをする。


 こんにちは、「夢と読書 一期一会BOOKS」の萌菜花です。

 本日ご紹介する本は魔女の宅急便です。

 言わずと知れた名作ですが、実は読んだことがないな、という人もいるのではないでしょうか?
 児童向けの本として有名だと思いますが、実は文庫本になっています。

 『働くこと』の意味がわかる、子どもにも大人にも読んでほしい一冊です。


 ※イメージ画をつけてみましたが、お話の中ではとんがり帽子は被ってないし、満月の夜に出発しています。念のため。

 

 

 

 

 

どんな本?

 

 魔女であるかあさん、民俗学者であるとうさんの間に生まれた一人娘のキキは、13歳になった。

 魔女の娘は魔女になるか、普通の人として暮らすかを選ぶことができる。

 魔女になることを決めたら、13歳の満月の夜、黒猫と、ほんの少しのお金を持って旅立つ。

 里帰りができるのは、最低でも1年後

 これは、魔女のキキが親元を離れ、ひとりと一匹で1年を過ごす成長の物語。

 

本と著者について

 

魔女の宅急便

 著者:角野 栄子
 定価:552円+税
 平成24年4月25日 初版発行
 (角川文庫)

 ※福音館書店より1985年に刊行され、2002年に福音館文庫に収録されたものを、2012年に角川文庫で文庫化したものです。

 

 角野 栄子(かどの えいこ)

 東京生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。
 25歳からのブラジル滞在の体験を描いた『ルイジンニョ少年 ブラジルを尋ねて』で作家デビュー。
 1982年『大どろぼうブラブラ氏』で産経児童出版文化賞、84年『わたしのママはしずかさん』で路傍の石文学賞、『ズボン船長さんの話』で旺文社児童文学賞、『おはいんなさい えりまきに』で産経児童出版文化賞、85年『魔女の宅急便』で野間児童文芸賞小学館文学賞IBBYオナーリスト文学賞など多数受賞している。

 

読んでみてどうだった?

 

1 『働くこと』の意味がわかる

 

 なんで働かなきゃならないのかなぁ。
 生きていれば一度は、この疑問を抱くのではないでしょうか。

 お金のため、という人ももちろんいるでしょう。

 では大人のみなさんは、『働き甲斐』を感じたことはありますか?
 もしくは、『働いていてよかったな』と思ったことはありますでしょうか。

 主人公のキキは、魔女になることを決意し、箒で空を飛ぶことができるようになり、13歳の満月の夜に親元を離れます。

 コリコの町に降り立つ前、空を飛んでいる途中で先輩魔女に出会います。

 彼女は猫のブブと占いやさんをしています。

 キキはコリコの町の『グーチョキパン屋』のマキノさんに頼まれてお客さんの忘れ物を届けたことがきっかけで、倉庫に住まわせてもらうこととなり、魔女の宅急便をはじめることになりました。

 コリコの町に魔女はおらず、最初は町の人に冷たい反応をされ、キキは傷つきます。

 ですが、自分のできる魔法――空を飛ぶこと――を使って忘れ物を届けて「たすかったわ」と言われたことで、しょげていた心が、あたたかく変化します。

 『働く』というのは、誰かの役に立つこと。

 実はキキが旅立つ前、かあさんのコキリさんに、

「大きな町ではみないそがしくって、ほかの人のことなんて考えてるひまのない人ばかりですから」  

 と言われていました。

 しかし、キキは逆転の発想で、

「いそがしくって、ちょっとしたとどけものにこまっている人は、たくさんいるかもしれないわ」  

 と考えたのです。

 自分の得意なことを生かして、誰かの役に立つ。
 これが『働くこと』の意味ではないかとわたしは思います。


 最初はうまくいかないのも、児童文学なのにちょっとリアルで、子どもの頃に読んでおくんだったな、ととてもわたしは後悔したので、働く前のお子様にも読んでほしいし、働くことに疲れた大人にも読んでほしいです。 

 

2 魔女はミニマリストだった

 

 キキは、お仕事をはじめるにあたって、お届け物を届けた対価として、お金ではなく、≪ほんのおすそわけ≫をいただくことを考えます。

 もともと、≪きりつめてきりつめて一年やっと食べられるくらい≫のお金を持っていて、服は黒い服と決まっていて(あのワンピースはかあさんの手作り)、食べ物も少しで良い。

 映画『魔女の宅急便』では、ユーミンの歌にのせてキキが夜空を飛んでいるシーンが印象的ですが、そのシーンをよく思い出してみてください。

 荷物、少なくありませんか?

 ほとんど着の身着のままという感じ。

 まあアニメだし、そこまで深く考えたことはありませんでしたが、荷物、あのちっちゃな鞄だけ……!?

 キキの場合はどこに行くかも決まっていないので、現地調達せざるを得ないのでしょうが、普通なら対価にお金を求めちゃいますよね。
 お金がないと物は買えないですから。

 しかし、そうしなかったのは、かあさんの生き方を見ているから

 魔女たちだけで暮らすのではなく、普通の人と持ちつ持たれつで生活することで、魔女たちは生き残ってきたのです。

 キキは旅立つ前、新しい服をねだったり、新しい箒を作ったり、『自分は自分』と考えていました。

 ですが、そういった大切なところは、ちゃんと覚えて受け継いでいる

 そこもこの物語の大好きなところです。

 

3 キキは1年で色々なことを学んでいく

 

 『魔女の宅急便』は、キキの成長の物語

 ひとり立ちをして新しい場所に住み、自分の得意なことを活かしてお仕事をはじめ、仕事を通じて色々なことを学んでいきます。

 最初は仕事がうまくいかず、1週間経っても仕事はゼロ

 そこで、黒猫のジジが、

「つまり宣伝っていうのが、必要なんじゃないの」  

 と提案します。

 ちょっとネタバレになってしまいますが、この後、キキは大きな絵を運ぶお仕事をし、その絵がいろんな人に見られることで<宣伝>をすることができました。

 その他にもお友達ができたり、ビスケットをもらったり、編み物ができるようになったり、と、お仕事することでたくさんの良いことが起こります。

 ただ物を運ぶ、といっても、場所や運ぶ物によってその方法は様々で、キキはいろんなトラブルに見舞われながらも工夫して乗り越えていきます。

 

まとめ

 

 映画とはまた違った魅力のある『魔女の宅急便』。
 
 わたしはこの本を読むまで、かあさんやとうさんの名前を知りませんでした……。
 このふたりは最初しか出てこないのかぁ、とキキの旅立ちのシーンで寂しくなったのですが、そのあとも出てきます。
 とても仲良しなふたりに癒されました!

 それから、黒猫のジジもめちゃくちゃかわいいので、読んだことがない方はぜひ、読んでみてください。

 


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 ちなみにこのお話は続刊が出ています。
 続きを読んだらまた記事を書きたいと思います。

 

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