夢と読書 一期一会BOOKS

日々読んだ本をご紹介。「夢と読書(ラクマで古本屋モドキ)」にて販売中です。

「障害があろうが、なかろうが、生きていかないといけない」――15歳のコーヒー屋さん(岩野 響)

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 こんにちは、「夢と読書 一期一会BOOKS」の萌菜花です。

 今回ご紹介する本は『15歳のコーヒー屋さん』です。

 15歳でお店を開くってすごいですよね。 どうしてだろう? と純粋にタイトルに惹かれ、この本を選びました。

 著者であり珈琲豆の焙煎士でもあるの岩野 響くんには、アスペルガー症候群という特性があります。 

 わたしのような人の他にも、 

自分のやりたいこと天職を探している
周りに同じような特性を持っている人がいる
珈琲が好き

 そんな方におすすめの一冊です。

 本の情報本の内容感想を本の中の言葉を引用しながら書きたいと思います。
 気になる方はぜひ、最後まで読んでください。

 なお、こちらは「夢と読書(ラクマで古本屋モドキ)」にて、実際に販売中の商品になります。

 

 

 

 

 

この本について

 

 

 

15歳のコーヒー屋さん 発達障害のぼくができることから ぼくにしかできないことへ
 
 著者:岩野 響
 定価:1,300円+税
 2017年12月21日 初版発行
 (株式会社 KADOKAWA

 岩野 響(いわの ひびき)

  2002年生まれ。群馬県桐生市在住。
  10歳で発達障がいのひとつ、アスペルガー症候群と診断される。
  中学校に行けなくなったのをきっかけに、料理やコーヒー焙煎、写真などの「できること」を探求していく。
  カレー作りからコーヒーを好きになり、2017年4月、自宅敷地内に「HORIZON LABO」をオープン。生まれながらに持っていた鋭い味覚・嗅覚を活かして焙煎したコーヒー豆を販売したところ、全国から反響が寄せられた。

 

どんな本?

 

 15歳でコーヒー屋さんの店長になった岩野 響くんのこれまでを本人ご両親児童精神科医がそれぞれの視点で語っています。
 発達障がいのひとつアスペルガー症候群の特性をもつ響くんがどのように育って、「コーヒー」という夢中になれるものを見つけて、焙煎士になったのか。
 家族として、親としての支え方も勉強になる、障がいがある人にもそうでない人にも読んでほしい一冊です。

 天職を探している人にもおすすめの本です。

 

どこが良かった?

 

①「アスペルガー症候群」という特性のある響くん本人やご家族の向き合い方がわかる

 

 響くんの特性は、鋭い嗅覚と聴覚。「アスペルガー症候群」と診断を受けたきっかけは、にぎやかな教室が苦手で、教室を飛び出してしまったことでした。赤ちゃんの頃はあまり寝ない子で、他の子とはちょっと違うことに興味を示していたそうです。
 それから、中学校で「できないこと」や「難しいこと」にぶつかり、居場所がなくなってしまいました。

 わたしは高校生のとき、学校に居場所がないまま約半年間を過ごしました。すごくつらかったし、学校に行きたくなくて家族の前で泣いたこともありましたが、卒業が近かったため、嫌でも学校に生き続けることを選びました。けれど、それがもし早い段階での出来事だったら? わたしは「学校に行かないこと」を選んだかもしれません。

 そうなると、当然親は心配します。家に引きこもって在宅ワークをしている今も、きっと心配はされていると思います。

 けれど、ここからのご家族の支え方が本当に素晴らしくて。そもそも真面目すぎて休めなかった響くんに学校を休んだら? と提案したのはお父さんで、それから家族で一緒に「学校に行かずに、できることを探して働く道」を探すようになります。それって、なかなかできることではないですよね。

 岩野家は話し合いをとても大事にされています。それは、夫婦でも家族でも大事なこと。考え方は家族の中でも人それぞれ違います。みんなで『これからをよくするため』に家族会議をする。とても素敵な関係だと思いました。

 それから、ふたりの弟さんとのエピソードもわたしはとても好きです。思うようにできなくて落ち込んでいた響くんに、弟さんたちが、

 「できないのがひーくんじゃん。ひーくんにしかできないことがあるんだから、それでいいんだよ」  

 と言って慰めていたそうです。兄のことを馬鹿にするでもなく、尊敬しているんです。これは本当にすごいことだと思います。
 そんな家族のあたたかな姿に胸を打たれました。

 

②「やりたいこと」を探している人にも読んでほしい

 

 どんな人でも、「やりたいこと」は簡単に見つかるものではないと思います。
 小さい頃からずっと同じ夢を持って、それを大人になって叶えている人なんてほんの一握りだと思います。

 しかし、大人になるとどんな人でも、働かなくてはなりません。響くんのお母さんの言葉をお借りするなら、

 「100円でも稼げないと生きていけないよ」  

 ということです。

 生きていると、「できないこと」に目が行きがちです。それは何故か。そこが「人と違って見えるから」だとわたしは思います。

 でも、働いてお金を稼ぐには、「できないこと」をできるように努力するより、「できること」を伸ばして自分だけの特技にし、お金を稼ぐほうがつらくないし、効率的でもあると思います。むしろ「できないこと」は得意な誰かに甘えて、やってもらう

 では、どうやって「できること」を見つけるのか。
 それは、『色々なことをしてみる』しかないのだと思います。これは興味がある、これは苦手、でも工夫すればできる、とか。そういう感じで、「できない」と決めつけずに、いろんなことをしてみる。そして「できた!」「嬉しい!」「楽しい!」「好き!」「興味がある!」という経験をたくさんして、自己肯定感を上げること。

 まずは自分のことを好きになって自分のことを知らないと、自分の「できること」は見つかりません。

 

③ひとりひとり考え方や感じ方が違うのだな、と思った

 

 「アスペルガー症候群」である当人、だけでなくて、ご両親児童精神科医それぞれの視点から書いている、というのがこの本の良いところだと思います。

 わたしがこの本を読んで感じたことは、「夫婦でもこれだけ考え方が違うんだ!」ということ。男性と女性で考え方が違うのはなんとなくわかりますが、外に働きに出ているお父さんと赤ちゃんの頃からずっと成長を見てきたお母さん、とでは考え方も感じ方も違う。
 考えてみればそれは当たり前のことで、生まれ育った環境が違えば、価値観だって違います。
 だからこそ、岩野家では「話し合うこと」をとても大事にしていたのです。

 夫婦関係やお子さんとの関係をより良いものにするためには、この「話すこと」がとても大事なのだと気づきました。
 家族の仲がとてもよく、息子さんたちはそれぞれしっかりされています。

 それから、考え方の違いで言えば、先生によっても対応が違うのだなと少し、悲しくなりました。

 わたしは20年くらい前、小学校で光とともに…という漫画を借りて読んでいました。
 主人公の光くんは自閉症で、生まれた時から中学生までの成長を描いたお話です。
 そこでも、両親の考え方の違いや、先生の対応の違いがあり、保育園からの幼馴染や友達、先生など理解者のサポートを得て、光くんはできることが増えていきました。でも、それは20年前くらいの話

 この本は2017年に発行された本で、「光とともに…」からは10年くらいは経っているはず。それでも、あまり現状は変わっていないところもあるのだな、と思いました。

 巻末に児童精神科医である星野先生の解説が載っていますが、そこでは『日本の支援体制はアメリカに比べると40年も遅れている』と語られていました。

 わたしも含めて、少しでも多くの「理解者」が増えたらいいな、とこころから思いました。

 

 

 

 

まとめ

 

 いつもより長くなってしまいましたが、自分の特性を活かせば、自分にしかできない「天職」になります
 「天職」が見つかった人は誰よりも輝いていますし、楽しく人生を送っています。
 それは、どんな人でも同じだと思います。

 気になる方はぜひ読んでみてください。

 

 

 

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