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こんにちは、「夢と読書 一期一会BOOKS」の萌菜花です。
今回ご紹介する本は『れんげ荘』です。
「穏やかにつつましく一人暮らしをしている本」が読みたくて、この本を選びました。
・誰も傷つかない平和なお話が読みたい
・仕事を辞めてゆっくりしたい、今ゆっくりしている
・質素で穏やかな生活をしているお話が読みたい
そんな方におすすめの一冊です。
本の情報と本の内容、感想を本の中の言葉を引用しながら書きたいと思います。
気になる方はぜひ、最後まで読んでください。
なお、こちらは「夢と読書(ラクマで古本屋モドキ)」にて、実際に販売中の商品になります。
この本について
れんげ荘
著者:群ようこ
定価:533円+税
2011年5月18日 初版発行
(ハルキ文庫)
群 ようこ(むれ ようこ)
1954年東京都生まれ。
日本大学芸術学部卒業後、本の雑誌社に入社。
1984年『午前零時の玄米パン』でデビュー。その後作家として独立。
『無印良女』『またたび読書録』『かもめ食堂』など多数の著書がある。
どんな本?
有名広告代理店で夜遅くまで働いていたキョウコは45歳で仕事を辞め、実家を出てひとり暮らしをはじめる。
家賃の安さと古いながらもきれいな部屋に惹かれて選んだ激安アパート「れんげ荘」には、60歳すぎのお洒落な女性・クマガイさん、外国人好きの恋多き女性コナツさん、小料理屋で夜遅くまで働くサイトウくんが住んでおり、キョウコの貯金生活がはじまった。「れんげ荘」での暮らしは、不便なところも多いけれど……!?
すべてを人のせいにする母親との関係に苛まれ、おっとりとした兄家族に心配され、今後の漠然とした不安に悩まされながらも、季節を感じる穏やかな「れんげ荘」での日々が充実していく。
どこが良かった?
家族の在り方を考えさせられる
『れんげ荘』では家族の関係が描かれています。主人公・キョウコの母は、世間体を気にしてすべてを人のせいにする性格で、背伸びした家を購入したために、父は働き過ぎて55歳で他界してしまいます。キョウコの兄はおっとりとしており、母の小言もうまく躱せ、「れんげ荘」というオンボロアパートに無職で暮らすキョウコのことを理解し、また心配もしています。同じく「れんげ荘」に住むクマガイさんは一人暮らしですが、60歳を過ぎていますが、今まで生きてきた家庭環境はちょっと複雑。
少しだけ自分の家庭環境を重ねながら読みましたが、『家族と距離をおくこと』はひとつの選択肢であるよなぁ、と考えさせられました。
お金を持つだけが幸せではないと感じられる
れんげ荘は、以前読んだ又吉直樹さんの『東京百景』を彷彿とさせる、築40年以上のオンボロアパート。小ぎれいとはいえ、トイレとお風呂は別(しかも共同)、隙間風で冬は極寒、網戸がないので夏は蚊の餌食、そしてクーラーがないという、女性が一人で住むには厳しい環境です。キョウコはテレビ番組や森茉莉さんの『貧乏貴族』という本に影響され、会社を退職して月10万円で暮らしはじめます。10万円で大丈夫なの? と思うかもしれません。時代背景が少し古めなのもあり、現代よりは生活しやすそうですが、それでも会社員時代の贅沢な暮らしはできません。
しかし、それでもキョウコは充実した日々を送るようになるのです。
今まで仕事が忙しく趣味という趣味がなかったため、オーガニックの食材や喫茶店で珈琲を飲むことにお金を使うことができ、お洒落なクマガイさんと仲良くなり、一緒に食事を食べに行ったり、服と茶碗を交換したり、交流を図ります。周辺を散歩したり、図書館に行ったりする、つつましいなかでも充実した日々に、普段忙しい毎日を送っている人はうらやましく思えるかもしれません。
母は理解を示さないものの、兄家族や友人がキョウコの暮らしを理解しているというのも、「充実した暮らし」に大きく関わっていると思いました。
理解者の存在は大きいと気づかされる
あなたの周りに、あなたのことを理解してくれる人はいますか?
この本ではキョウコを理解してくれている兄家族や友人がとても心強く感じられます。
中でも、姪のレイナはれんげ荘を見ても引くことなく、むしろ好意的に受け止めています。それから、友人であるマユちゃんの存在。わたしはいくつかマユちゃんの好きな台詞があるのですが、その一つが、
「周囲の人に相談したり、本や雑誌を読んだりしたんだけど、結局は自分で決めることなのよ。家族がいても何があっても自分なのよ。誰かの真似なんかできないの。キョウコちゃんは、他の人が真似できないような大英断を下したんだから、時間があるときに考えたければ、今後について考えてみたら。考えたくなければ無理に考えることはないのよ。」
と、そっとキョウコに寄り添うようなこの言葉。仕事を辞めて、実家を出て、新たな場所で一人暮らしをはじめる、というのはとてもとても大きい決断です。それを否定したり、批判せずに、肯定して寄り添ってくれる人は、なかなかいないと思います。
この本を読みながら、わたしは改めて自分の周りの人たちに感謝しました。
まとめ
稼ぎの良かったお仕事を辞めて、貯金だけで暮らすというのは、とても大きな決断だと思います。
現実では難しいかもしれませんが、そういった暮らしが合っていて、その方がしあわせ、という人もいます。
全員がそう、とは限りません。ただ、そういう選択肢があっても良いとわたしは思います。
やりたくてもできない、という人ももちろんいるでしょう。そういう方はぜひ、この本を読んでみてください。
主人公のように図書館で借りてもいいですし、中古なら安く買えます。読書は少しのお金(あるいは無料)で穏やかな時間が過ごせます。それは本の内容次第で変わるかもしれませんが。
気になった方はぜひ、読んでみてください。